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チンパンジーに世界の現状についてクイズを出すと、人間の専門家より正解率が高い——そんな衝撃的な事実から、この本は始まる。
ハンス・ロスリングの「FACTFULNESS」は、私たちがいかに世界を誤解しているかを、データとユーモアで明らかにする一冊だ。著者は医師であり、統計学者であり、プレゼンテーションの名手でもある。残念ながら2017年に亡くなったが、本書は息子夫婦との共著として世に出た。
Contents
世界を歪める10の思い込み
世界では極度の貧困が減っているのか、増えているのか。正解は「減っている」だ。しかしこの問いに正解できる人は少ない。大半の人は「増えている」か「変わっていない」と答える。なぜか。私たちの頭の中にある世界像が、現実とかけ離れているからだ。
ロスリングは10種類の「本能」が私たちの思考を歪めると指摘する。格差本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能——これらが組み合わさって、私たちは世界を実際より暗く、静的で、二分化されたものとして見てしまう。
データが示す世界の本当の姿
特に印象深いのが「ドラマチックな世界観」への批判だ。メディアは悪いニュースほど報道する。なぜなら悪いニュースはすぐに起きるが、良いことはゆっくりと進行するからだ。毎年少しずつ改善される子供の死亡率はニュースにならない。しかし一度の事故や惨事は大きく取り上げられる。その結果、私たちの脳内の「最近のニュース」は世界の実態を反映していない。
「先進国と途上国」という二分法も批判される。ロスリングは所得レベルをレベル1〜4に分け、現在の世界の大多数はレベル2〜3に属すと言う。「貧しい国」と「豊かな国」の二つしかないという思い込みが、的外れな支援や政策を生む。
事実に基づく思考を身につけるには
読んでいて胸が痛くなる場面もある。著者が若い頃、世界は本当に「二つに割れていた」。しかし今、それは変わった。世界は著者が若い頃より、確実に良くなっている。その事実を、私たちはなぜ受け入れられないのか。



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