ゴールデンカムイ 第24巻【海賊房太郎と札幌大集結】ネタバレ・あらすじと考察

ゴールデンカムイ 第24巻 ネタバレあらすじ

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「天から役目なしに降ろされたモノはひとつもない」――第23巻から続くこのテーマを掲げる第24巻は、新たな囚人・海賊房太郎の本格登場と、全勢力が札幌へ吸い寄せられていく「札幌編」の幕開けを描きます。石狩川での息詰まる水中戦、飴売りに逃げられる一行、そして菊田特務曹長の衝撃の正体まで、ネタバレありで読み解いていきます。

Contents

第24巻のあらすじ(第232話〜第240話)

谷垣とインカラマッ、生まれた娘の3人を、鯉登少尉が見逃すかたちで物語は再び動き出します。杉元・アシリパ・白石・ヴァシリの一行は、砂金掘り師・松田平太から得た手がかりをもとに、脱獄囚「海賊房太郎」を追って石狩川流域を進みます。

石狩川で房太郎と遭遇した一行は、蒸気船をめぐる攻防と水中での息止め合戦という死闘を繰り広げます。やがて杉元は、房太郎の持つ情報が鶴見中尉や土方を出し抜く鍵になると見て、彼と手を組む決断をします。海賊房太郎が、探り合いながらも杉元一味に加わります。

一行は炭鉱都市・歌志内で「変な入れ墨の男」の噂を聞き込みます。その正体は飴売りに扮した脱獄囚・上エ地でしたが、男はすでに札幌へ向かった後で、取り逃がしてしまいます。

舞台は札幌へ。連続娼婦殺人事件を追う宇佐美と菊田は犯人と遭遇するものの取り逃がし、翌日、菊田は土方一味に潜入していた有古に接触します。そして最終話、菊田特務曹長が中央政府のスパイであるという衝撃の事実が明かされます。全勢力が札幌へ集結し、物語は大きな渦へと突入していきます。

【ネタバレ】第24巻の重要ポイント

海賊房太郎はなぜ杉元一味に加わったのか

久々の「直球」の囚人キャラとして登場する海賊房太郎。これまでの刺青囚人に多かった変態的・猟奇的なタイプとは異なり、知略と度胸を備えた手強い相手です。石狩川での水中戦は、遡上するチョウザメを利用して逃げようとした杉元と、船の外輪に巻き込まれかける房太郎という、息詰まる攻防として描かれます。

杉元が房太郎と手を組んだのは、彼の持つ情報――のっぺら坊が支笏湖に沈めた金塊の最初の隠し場所を突き止めていたこと――が、先行する鶴見・土方を出し抜く切り札になると見たからです。互いに腹の内を探り合いながら同行する緊張感が、ここから新たな物語の駆動力になります。

菊田特務曹長の正体とは

第24巻最大の衝撃が、表紙を飾る菊田特務曹長の正体です。鶴見の元部下として第七師団に馳せ参じた知略派の常識人――そう見えていた菊田は、実は中央政府のスパイでした。鶴見ら反乱分子を泳がせて金塊を横取りしようと企む中央の意を受け、第一師団・奥田中将から第七師団へ送り込まれていたのです。

さらに重要なのは、土方の用心棒・尾形も同じ奥田中将配下のスパイだと示唆される点です。鶴見の野望、土方の野望に加えて「中央政府」という第四の思惑が水面下で動いていたことが明かされ、金塊争奪戦の構図が一段と複雑になります。菊田は二重スパイにされ孤立していた有古に「俺につかないか」と誘いをかけ、物語に新たな火種を持ち込みます。

飴売り・上エ地はなぜ取り逃がされたのか

歌志内で一行が追った「変な入れ墨の男」は、飴売りに扮した脱獄囚・上エ地でした。しかし男はすでに札幌へ発った後で、一行は接触できません。単行本では、この「飴売りを追わない理由」を補強する1ページが新規に加筆されています。

この取り逃がしは単なる足止めではなく、全勢力が「札幌」という一点へ収束していくための導線です。上エ地も、囚人も、軍も、土方一味も、杉元一味も――それぞれの理由で札幌を目指す。第24巻のラストが告げる「札幌でこれから何が起きようとしているのか」という問いが、次巻以降の札幌編へ読者を引き込みます。

第24巻の見どころ・考察

派手な物売りの装いが映す、明治の行商文化

第24巻で印象的なのが、登場人物たちがまとう派手な物売りの装いです。飴売りに扮した上エ地、そして切り裂きジャック探しのために物売りへ変装する土方一行。なぜ彼らはああも目立つ格好をするのか――ここには明治期の行商文化という史実の裏付けがあります。

明治の街には行商人があふれていました。なかでも飴売りは競争が激しく、客を呼ぶために趣向を凝らしました。江戸後期から続く「唐人飴売り」は、異国風の帽子に羽根をあしらい、チャルメラを吹き、訳の分からない口上や踊りで子どもたちの人気を集めたといいます。派手であることは、行商人にとって生き残るための営業そのものだったのです。

つまり、上エ地の飴売り姿も、土方たちの変装も、当時の風俗として「むしろ自然」だった。派手だからこそ人混みに紛れ、派手だからこそ怪しまれない。野田サトル作品らしい時代考証の妙が、こうした衣装の細部に宿っています。読者は娯楽として楽しみながら、知らぬ間に明治の北海道の街の空気に触れているのです。

炭鉱都市・歌志内という舞台のリアリティ

一行が訪れる歌志内は、現在では日本で最も人口の少ない市として知られますが、ゴールデンカムイの時代は石炭採掘で賑わう炭鉱都市でした。全国から労働者が集まり、さまざまな物売りが行き交う活気ある町だったのです。

北海道の開拓は石炭・鉄道・港湾を軸に進みました。歌志内のような炭鉱町は、その最前線です。金塊を追う物語の舞台に炭鉱都市を選ぶことで、作品は「黄金(金塊)」と「黒い黄金(石炭)」という二つの富を静かに対比させているようにも読めます。地名ひとつに北海道近代史を織り込む――この奥行きが、本作を単なるバトル漫画から「歴史を読む漫画」へと引き上げています。

石狩川とチョウザメ――食と自然の交差点

房太郎との水中戦の舞台となる石狩川では、チョウザメが大きく描かれます。チョウザメの卵はキャビアであり、塩漬けではない「生のキャビア」の美味が語られるのは、本作のグルメ要素の真骨頂です。

注目したいのは、石狩川の支流・江別の地名の由来にチョウザメが関わるという描写です。アイヌ語で「ユペ・オッ(チョウザメが多くいる場所)」が江別の語源だとする説が紹介されます。自然・食・アイヌ語の地名が一本の川で交差する――水中戦という派手なアクションの裏で、作品は北海道の土地の記憶を静かに語っています。激しい戦いと、その土地に根ざした暮らしの記憶が同居するのが、第24巻の奥深さです。

賛否を呼んだ巻でもある

補足として、第24巻は連載当時から賛否が分かれた巻でもあります。札幌の連続殺人犯を追う宇佐美の捜査描写は、本作の下ネタ・ギャグの中でも踏み込んだ表現で、「以前の骨太な作風から変わってしまった」と戸惑う読者の声もありました。

一方で、海賊房太郎の魅力、菊田の正体という物語上の重要な布石、そしてアイヌ文化・北海道史のディテールは健在です。評価が割れること自体、この作品が冒険・歴史・グルメ・ギャグ・ホラーを一つの器に詰め込んだ「闇鍋」のような作品であることの証でもあります。読み手によって刺さる要素が違う――それもまたゴールデンカムイの個性だと言えるでしょう。

次巻(第25巻)への引き

第24巻のラストで全勢力が札幌へ集結し、物語はいよいよ札幌編へ突入します。第25巻では、杉元・土方・第七師団、そして脱獄囚たちが同じ街で交錯し、それぞれの思惑がぶつかり合います。誰かにとっての敵が、別の誰かにとっては大切な人――立場の異なる人物たちの物語が同時進行する、群像劇としての面白さが加速していきます。

ゴールデンカムイ 第25巻のネタバレ・あらすじ

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