薬屋のひとりごと8巻ネタバレ|羅漢と鳳仙、猫猫の出自

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『薬屋のひとりごと』8巻(ビッグガンガンコミックス版・作画ねこクラゲ)のネタバレあらすじです。日向夏さんの原作小説にはコミカライズが2系統あり、こちらはスクウェア・エニックスのビッグガンガンで連載されているほうの版になります。

8巻は全6話。前半3話が「鳳仙花と片喰」の前編・中編・後編で、本編168ページのうち76ページを占めます。事件を解く巻ではなく、羅漢という人物を解く巻です。

Contents

薬屋のひとりごと8巻の見どころ3つ

1. 羅漢と鳳仙、そして猫猫の出自
第三十七話からの3話は、羅漢が花街に通っていた理由にまるごと充てられます。妓女の鳳仙〈フォンシェン〉との間に子を成した羅漢は、3年におよぶ遊説で戻れなくなり、その間に鳳仙は身請けの話が破談となって病を得ます。そして7巻の将棋勝負のあと、酔って緑青館で目を覚ました羅漢は、妓女をひとり身請けすることになっていました。梅梅〈メイメイ〉を選びかけたところで、開いた扉の向こうから聞こえた歌に気づいて駆け出します。鳳仙が猫猫を産んだ女性であることを、8巻は地の文ではっきりと書いています。

2. 壁の上の見送りと壬氏
第四十話「見送り」では、猫猫が夜の後宮の壁の上で舞を舞います。妓女が身請けされるとき、残る者が舞って見送るならわしがあるからです。衛兵の通報を受けて駆けつけた壬氏は、足の傷が開いてしまった猫猫を抱き上げて壁から降ろします。ところが猫猫のほうは、その腕の中で約束していた牛黄を催促する。しみじみとした場面になるはずのところで、ふたりの調子はどこまでも噛み合いません。

3. 後宮に広がるものと、解けないままの謎
第四十一話「書」では、皇帝が妃たちに書物を与えます。妃や侍女が読み、それが下女たちにも広がって文字を知ろうとする者が出てくる——後宮の識字率を上げようという壬氏の思惑です。第四十二話「猫」では、鈴麗公主〈リンリーひめ〉が外出先で見つけた子猫を、猫猫が医局で預かることになります。一方で第三十九話には、馬閃〈バセン〉が楼蘭妃と子昌〈シショウ〉の一行を見かけて「……腹黒親子め」ともらす場面があり、7巻から続く不穏さは解けないままです。

8巻の名セリフ2選

1つ目は第三十七話、羅漢の独白「残った娘と共にいたい ただそれだけが願いだった」。3年の遊説から帰った羅漢が、緑青館で幼い猫猫を目にした場面です。羅漢は人の顔を見分けられない人物ですが、猫猫の顔だけは認識できる。「残った娘」という言い方に、会わせてもらえなかった相手のことと、それでも手元に残ったものへの執着とが、同時に畳み込まれています。

2つ目は第三十九話、高順が壬氏と猫猫に向けて言うセリフ「世の中には好きで嫌われる父親なんていないと思ってください」。壬氏と猫猫が羅漢について話している場面で出てきます。6巻で壬氏が羅漢と猫猫の関係に思い至ったのを受けて、答え合わせのように置かれた一言です。7巻で高順自身も父であることが明かされたばかりだと思うと、言葉の重さが変わってきます。

8巻の収録話一覧

・第三十七話 鳳仙花〈ほうせんか〉と片喰〈かたばみ〉(前編)
・第三十八話 鳳仙花と片喰(中編)
・第三十九話 鳳仙花と片喰(後編)
・第四十話 見送り
・第四十一話 書
・第四十二話 猫

前半の3話が76ページで本編の半分近くを占め、30ページ・26ページ・20ページと進むほど短くなっていきます。後半は32ページ・30ページ・30ページとほぼ均等。1話あたりは28.0ページで、既刊でもっとも1話が長かった7巻の43.5ページから大きく戻り、テンポよく読み進められる巻になっています。

8巻で名前がわかるキャラクター

・鳳仙〈フォンシェン〉……羅漢が通っていた花街の妓女。猫猫を産んだ女性
・毛毛〈マオマオ〉……後宮に迷い込み、医局で預かることになった子猫

この巻の名前で気をつけたいのが、子猫の毛毛〈マオマオ〉です。主人公の猫猫〈マオマオ〉と読みがまったく同じで、漢字だけが違います。これまでも羅門〈ルオメン〉と羅漢〈ラカン〉、水蓮〈スイレン〉と翠苓〈スイレイ〉といった紛らわしい並びがありましたが、同じ読みで並ぶのは今回が初めて。第四十二話の話タイトルが「猫」であることも含めて、意図的に重ねられているように読めます。

アニメではどこまで?

アニメ1期は全24話で、8巻の内容は第23話の途中から始まります。第23話には漫画の第三十七話〜第三十九話と同じサブタイトルが付いており、7巻の将棋勝負から地続きで、羅漢と鳳仙の過去の回想まで進みます。続く最終話の第24話は、身請けの場面から第四十話「見送り」までを収録して1期の幕が下ります。つまり第四十一話「書」と第四十二話「猫」は、1期では映像化されていません。アニメを見てから8巻を手に取ると、最後の2話がまるごと未見の状態で残っていることになります。

薬屋のひとりごと8巻を読む

8巻は2021年5月に初版が出て、2026年4月には25刷を数えています。7巻から半年での刊行で、5巻から7巻までが8か月間隔だったことを思うと、このあたりで刊行のペースが一段上がったことがわかります。原作小説でいえば2巻の山場にあたる部分で、コミカライズが小説のひと区切りに追いついた巻でもあります。

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前後の巻・総まとめ

前巻:薬屋のひとりごと7巻のネタバレ記事

総まとめ:薬屋のひとりごとネタバレ総まとめ

まとめ

8巻は、7巻までに積み上がった謎をひとつも解かないまま、まったく別の方向へ深く掘り下げた巻でした。翠苓が何者なのかも、祭事場で柱を落としたのが誰なのかも、この巻では明かされません。代わりに開かれるのが、羅漢という人物の来歴です。奇人としてしか描かれてこなかった男が、なぜそうなったのかが3話をかけて語られます。

印象に残るのは、猫猫が酔いつぶれた羅漢に薬と乾いた薔薇を届ける場面です。箱には文が忍ばせてありますが、羅漢がそれに気づいたかどうかは書かれません。猫猫の側がどこまで承知しているのかも断定はされないものの、8巻ではそれをうかがわせる描かれ方になっています。答えを出さずに読者に預けてくる、この作品らしい閉じ方です。

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