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『薬屋のひとりごと』3巻(ビッグガンガンコミックス版/原作:日向夏、作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)のネタバレあらすじです。同じ原作からはサンデーGX版『猫猫の後宮謎解き手帳』も出ているので、書店で迷ったらねこクラゲさんの絵柄が目印になります。
3巻の収録は第九話「猫猫の推理」から第十四話「酒」までの全6話。園遊会の後始末から始まり、猫猫〈マオマオ〉が簪を手に後宮の外へ出て、花街でまた新しい事件に行き当たります。以下、内容に触れていきます。
Contents
薬屋のひとりごと3巻の見どころ3つ
ひとつめは、事件が三つ続く密度の高さです。園遊会で毒の入った器に触れた四人を指紋から切り分け、誰が何をしたのかを詰めていく第九話。花街の中級妓楼で心中に見えた現場から、二種類の酒と麦稈のストローに目をとめる第十一話・第十二話。そして酒の飲みすぎで死んだとされた武人の、酒瓶に残った塩の粒へ行き着く第十三話・第十四話。毒の知識ではなく、残されたものを観察して筋を通していく猫猫の思考が、性格の違う三つの事件で繰り返し描かれます。
ふたつめは、人間関係が大きく動くこと。後宮の外に出たい猫猫が頼ったのは、園遊会で簪をくれた武官・李白〈リハク〉でした。渋る李白に対し、猫猫は高級妓楼・緑青館の三姫と会う機会を差し出して交渉をまとめます。持っている札で人を動かすしたたかさが出る場面です。一方、里帰りから戻った猫猫を待っていたのは、李白との仲を勘ぐって不機嫌になっている壬氏〈ジンシ〉。玉葉妃の説明で誤解は解けますが、その反応そのものが読みどころになっています。
みっつめは、伏線として効いてくる簪です。園遊会で贈られた簪を使えば後宮の外に出られる——ただしそこには別の意味があるらしく、周りの侍女たちも猫猫にははっきりとは教えません。周囲は察しているのに猫猫だけが気づいていない、という構図になっています。あわせて、園遊会での不自然な衣装の色から里樹妃〈リーシュひ〉が侍女たちにいじめられていると猫猫が見抜く場面、そして猫猫が育った緑青館という場所そのものが、この先の物語の土台になっていきます。
3巻の名セリフ2選
第九話、猫猫が高順〈ガオシュン〉に向かって言う「明確な悪意を持ったいじめです」。園遊会で里樹妃の毒味役が器をすり替えた理由を説明する場面のセリフです。毒殺そのものより、その裏で平然と行われていた仕打ちのほうを猫猫は問題にします。感情的に怒るのではなく、事実の積み上げの結論として「悪意」と言い切るところに、この巻の猫猫の距離感が出ています。
もうひとつは第十二話、禿〈かむろ〉が猫猫に向けて叫ぶ「こんな奴死んだ方がいいんだ!」。心中を図ったと見られる男を刃物で手にかけようとするのを、猫猫が止めた場面です。事件の理屈を追ってきた読者に、花街で人が背負わされるものの重さを一言で突きつけてきます。この巻でいちばん温度の高いセリフです。
3巻の収録話一覧
・第九話 猫猫の推理
・第十話 簪の意味
・第十一話 里帰り
・第十二話 麦稈
・第十三話 誤解
・第十四話 酒
3巻で名前がわかるキャラクター
・白鈴〈パイリン〉……高級妓楼・緑青館の三姫のひとり。李白が会うことになる相手です
・浩然〈コウネン〉……酒の席で亡くなる武人。壬氏が猫猫に相談を持ちかけるきっかけになります
・禿〈かむろ〉……妓楼で妓女に仕える少女を指す呼び名。花街の事件で猫猫を呼びに来ます
なお、2巻で登場した李白の読みは、3巻では「リハク」とカタカナで振られています。中華風の読みが並ぶなかで李白だけ和名の響きになっているのは、そのまま原本の表記どおりです。
アニメではどこまで?
3巻の範囲はアニメ1期で映像化済みです。第九話・第十話が第7話「里帰り」、第十一話・第十二話が第8話「麦稈」、第十三話・第十四話が第9話「自殺か他殺か」に対応します。アニメ側も漫画と同じ「麦稈」というサブタイトルを使っています。ただしアニメ第9話には3巻より先の出来事も含まれているため、アニメを見終えてから漫画で続きを読む場合は4巻からになります。逆に、簪をめぐる猫猫の鈍さや花街の空気の描き込みは漫画のほうが密度があるので、アニメを見た人でも読み返す価値のある巻です。
薬屋のひとりごと3巻を読む
前後の巻・総まとめ
まとめ
3巻は、後宮の中で始まった話が一度外に出て、また後宮に戻ってくる巻です。指紋、麦稈のストロー、酒瓶に残った塩——手がかりの質はばらばらですが、猫猫の見方はどれも同じで、目の前にあるものを疑わずに読むだけ。その視線が花街という猫猫の地元に向いたとき、推理の話が急に人の話になります。園遊会編の余韻を引き受けつつ、猫猫という人物の背景に手を伸ばし始める、転換点の一冊でした。


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