薬屋のひとりごと5巻ネタバレ|羅漢の登場と鉛の遺言

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『薬屋のひとりごと』ビッグガンガンコミックス版(作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)の第5巻には、第二十二話から第二十六話までの全5話が収録されています。4巻の7話から話数は減りましたが、1話あたりは長くなり、猫猫〈マオマオ〉の活動の場が後宮の外へ広がっていく巻です。

なお本作には漫画版が2系統あり、この記事で扱うのはスクウェア・エニックスのビッグガンガンコミックス版です。サンデーGX版『猫猫の後宮謎解き手帳』とは収録内容も巻数の進み方も異なります。

Contents

薬屋のひとりごと5巻の見どころ3つ

1つめは、猫猫が持ち込まれる事件の幅が広がることです。ひとつは鱠〈なます〉を食べた役人が食中毒で倒れた一件。猫猫は、材料に使われた海藻が石灰につけて無毒化する必要のあるものであり、その処理がされていなかったことを突き止めます。もうひとつは倉庫で起きた爆発です。猫猫は、舞い上がった小麦粉に煙管の火が引火したのが原因だと考え、実際に実験してみせることで証明します。後宮の妃たちをめぐる事件が中心だったこれまでと違い、外廷で起きた出来事に猫猫が呼ばれていく形になっています。

2つめは、軍部の高官・羅漢〈ラカン〉の登場です。壬氏〈ジンシ〉がこの人物を苦手にしている様子が繰り返し描かれ、猫猫を下女として迎えたことで突っかかられているらしい、という説明がなされます。その羅漢が第二十五話の終盤に持ち込むのが、亡くなった彫金細工師の遺言の謎解きです。作業小屋に固定された家具と金魚鉢が置かれ、日光で鍵穴が温められて焊〈はんだ〉が溶けることで鍵が開く仕掛けになっていました。家具には鉛と錫、そして結晶のようなものが納められており、猫猫は引き出しの大きさの比率どおりに調合することで新しい金属ができるのだと推理します。第二十六話「鉛」はこの謎解きに丸ごと充てられ、5巻でいちばん長い一話になっています。

3つめは、壬氏の側から語られる独白です。整った容姿も甘い声も眼差しも、男としては過剰すぎるものとして自覚したうえで、それを利用して帝の願いを聞き届けるのが自分の仕事であり、帝との賭けでもある——そう壬氏は考えています。何を託されているのかは書かれていませんが、壬氏が自分の容姿を道具として扱っていること、そしてそれが帝との関係の上に成り立っていることが、本人の言葉として示されます。加えて羅漢が、昔なじみの妓女に物好きな金持ちが二人がかりで値を釣り上げたため、その希少価値を下げる方法を使ったという話を壬氏に聞かせる場面もあります。羅漢はその方法を明かさず、そういう世界を知る者に聞いた方が早いとだけ言い残す。5巻は壬氏の立ち位置がいくつかの角度から照らされる巻になっています。

5巻の名セリフ2選

1つめは第二十四話、猫猫の独白から「世の中に不思議なことはほとんどない」。倉庫の爆発の原因を説明する場面で出てくる一言です。粉が舞う場所で火を扱えば爆発が起きる——理屈がわかってしまえば何ということもない現象を、不可解な事故として片づけないための言葉でもあります。猫猫という人物が何を信じて物を見ているのかが、この短い独白に集約されています。

2つめは第二十五話、羅漢が壬氏に向けて言う「妙に謎解きが得意なようですな」。彫金細工師の遺言の謎解きを持ち込む場面です。壬氏に言いながら、その先にいる誰かを見ているような一言で、羅漢という人物の食えなさがよく出ています。ここから第二十六話の謎解きへ話が動き出します。

5巻の収録話一覧

・第二十二話 外廷勤務
・第二十三話 後宮教室
・第二十四話 煙管
・第二十五話 鱠
・第二十六話 鉛

全5話で178ページ(次回予告を含む)。4巻が7話で193ページでしたから、1話あたりは4巻より2割ほど長い計算になります。とくに最後の「鉛」は40ページ以上あり、謎解きにじっくり時間をかけた構成です。

5巻で名前がわかるキャラクター

・水蓮〈スイレン〉……壬氏の侍女
・楼蘭妃〈ロウランひ〉……阿多妃に代わって淑妃となった妃
・羅漢〈ラカン〉……軍部の高官

3名とも5巻が初登場です。読むときに注意したいのは、羅漢〈ラカン〉と、4巻で名前が明かされた猫猫の養父・羅門〈ルオメン〉が1字違いだということ。まったく別の人物です。なお5巻では猫猫の口から「羅門という薬師」という言い方が出てきて、養父が薬師であることがはっきりします。

アニメではどこまで?

5巻の内容は、アニメ1期の第13話から第16話にあたります。第二十二話が第13話「外廷勤務」、第二十三話と第二十四話が第14話「新しい淑妃」、第二十五話が第15話「鱠」、第二十六話が第16話「鉛」という対応です。漫画2話でアニメ1話という刻みは3巻・4巻と同じですが、5巻は収録話のうち3つがアニメのサブタイトルと完全に一致します。アニメは小説を原作としているため漫画とは話の区切りが一致しないのが常ですが、5巻はとりわけきれいに重なる範囲です。

薬屋のひとりごと5巻を読む

5巻は2019年7月に初版が出て、2026年1月には36刷を数えています。電子版はKindleとDMMブックスの両方で配信されています。

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前後の巻・総まとめ

前巻:薬屋のひとりごと4巻のネタバレ記事

まとめ

5巻は、猫猫の仕事場が後宮の中だけではなくなる巻でした。食中毒も倉庫の爆発も彫金細工師の遺言も、扱っているのは後宮の外の出来事です。そこへ羅漢という新しい人物が現れ、壬氏との間に妙な緊張が生まれる。事件そのものは1話か2話で片づいていきますが、羅漢が何を考えているのか、壬氏が帝から何を託されているのかは、5巻の時点ではまだ輪郭だけです。次の巻からが本題という感触の残る一冊でした。

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