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第161話 カムイレンカイネ
【アシリパグループ】
*オレンジは独り言
アシリパの父の思い出をたどれば刺青の暗号を解くカギが見つかるはずだと、キロランケ、白石、尾形、アシリパは、国境を自由に行き来することを認められているウイルタ民族に変装して国境を超えようとしている。
ウイルタのおじいさんが、たまたま日本陸軍の三八式銃を持っていたため、国境守備隊に撃たれてしまった。
ロシアの国境守備隊は森の中からアシリパたちを狙っている。
尾形は白石にトナカイとそりを森の中に隠すように指示する。
しかし、国境守備隊はトナカイを狙撃する。
突然キロランケ物陰から身をさらし、ウイルタ民族のおじいさんを、抱きかかえて戻ってくる。
国境守備隊のリーダーが狙撃手に撃てと命じるが、なぜか撃たない。
逆に尾形がリーダーを狙撃する。
その隙に、アシリパたち一行はトナカイ、そりともども森に身を隠す。
ウイルタ民族のおじいさんは、大きな帽子のおかけで狙いがそれ、頭を弾が貫通してはいなかった。
第162話 狙撃手の条件
国境守備隊の狙撃手ヴァシリは、キロランケが皇帝暗殺犯であることに気付いた。キロランケを倒して出世しようとしている。
ヴァシリは、国境守備隊のリーダー イリヤを置いてキロランケを追う。
それは、イリヤの頭を狙わず腹部を撃ち、足手まといにしようとする尾形の意図を見抜いているから。
ヴァシリは、尾形は、トナカイ橇の後をたどろうとする者を待ち伏せて狙撃しようとするだろうと予測する。
しかし、尾形はヴァシリが狙いなので、ヴァシリが現れるまで撃たない。
ヴァシリも尾形の意図に気付いた。
キロランケ、白石、アシリパは、イリヤを見つけた。イリヤは、キロランケの指名手配書をアシリパたちに見せる。「ロシアはお前を忘れていない」といいながら。
ヴァシリは、とうとう、尾形を見つけた。
第163話 指名手配書
尾形だと思った人影がピクリとも動かない。ヴァシリは奇妙に思う。
朝になってヴァシリは、人影のところから足跡を消した痕跡を見つける。
望遠鏡で、痕跡をたどっていくと、その先にはウィルタ民族の棺があった。
人影は遺体を使って作ったものだった。
ウィルタ民族の棺は、木の上に置かれている。ヴァシリは、尾形が棺に隠れていると思い狙撃する。
しかし、別のところに身を隠していた尾形に、ヴァシリは撃たれてしまう。
キロランケは皇帝暗殺について、アシリパと白石に話す。
キロランケは、アシリパの父と、皇帝に爆弾を投げて、暗殺した。
第164話 悪兆
ヴァシリとの戦いに決着をつけ戻ってきた尾形は顔色が悪い。
風邪をひいたらしい。
尾形は、同じ兵営にいた勇作のことを思い出す。尾形は、勇作を出征前に遊郭に連れ出した。
勇作は旗手であったが、それは童貞であれば弾丸に当たらないと信じられていたためである。
しかし、勇作は尾形の誘いを断る。尾形は、勇作を人目につかないよう裏口から帰した。
アシリパたちは、ウイルタのおばあさんのいとこのテントにたどり着く。
尾形は、アシリパにアイヌの風邪の治療を受ける。
また、ウイルタのおばあさんのいとこは、祈祷により尾形にとりついたものをはらおうとする。
白石は、アシリパをテントの外に連れ出し一緒に逃げようという。
キロランケの皇帝暗殺は20年も前の事なのに国境で待ち伏せされるのはおかしいと白石は言う。きっと、自分たちの行動が把握されているという。
しかし、アシリパは残るという。自分の父親 ウイルクがどんな人だったのか、どうしてのっぺらぼうになったのか、知りたいという。
第165話 旗手
尾形は熱に浮かされながら、旅順攻囲戦を思い出している。
勇作は旗手として先頭を切って勇敢に突撃し、他の兵士たちの心をつかんでいた。
尾形は、夜、勇作を呼び出し、捕虜を殺せと勇作に迫った。
尾形は勇作に、旗手であることを言い訳に自分の手を汚さないつもりかと尋ねた。
勇作は、父親から「お前だけは殺すな」といわれていると尾形に告げた。父親は、童貞であること、敵を殺さないことで偶像になり勇気を与えるのだと言った。
後日の戦闘で、尾形は、勇作の頭を後方から狙撃した。
そこで、尾形は目を覚ました。
第166話 頼み
ウイルタのおじさんが、トナカイの肩甲骨を焼いてアシリパたちを占ってくれた。肩甲骨を焼いて、亀裂の具合で占う。
占いの結果は、後方から人が来るというものだった。
不吉な亀裂「誰か死ぬ」は、出なかった。
アシリパ、キロランケ、尾形はトナカイを一頭、ウイルタのおじいさんの兄弟に届けるお使いを頼まれた。アシリパがトナカイに乗り北に向かった。
キロランケは白石に、自分はお尋ね者で一緒にいると危険だからここで別れようという。
白石はいったんキロランケたちと別れるが、杉元にアシリパを頼むといわれたことを思いだし、アシリパたちと再度合流する。
一行がウイルタのテントから去った後、トナカイの肩甲骨が割れ、不吉な亀裂が現れた。
【杉元グループ】
杉元、谷垣、月島軍曹、鯉登少尉、チカパシ、エノノカとアイヌのおじいさんは、犬ぞりに乗って、樺太を北上し、アシリパたちの後を追っている。
犬橇は2台。1台には、杉元、チカパシ、谷垣が乗っている。もう1台には、アイヌのおじいさん、エノノカ、鯉登少尉、月島軍曹が乗っている。
天候が悪化し、吹雪が一行を襲う。
杉元たちの橇をひいている犬のリュウが、列を乱し、杉元たちは、鯉登たちのそりとはぐれてしまい、気がつくと海岸に出ていた。
第167話 白くらみ
杉元たちは、がちがちに凍った土を掘り、その中でそり1台分の薪に火をつけ、また土をかけてゆっくり燃やし、暖をとる。
また、樺太犬たちを自分たちのまわりに集め、布団の代わりにする。樺太犬は寒さにめっぽう強く、極冠の吹雪の中で3~4日平気で眠り続ける。
一方、鯉登たちは近くにあった建物に逃げ込む。建物には牛がいて、誰か住んでいるよう。
建物の外で、杉元たちに居場所を知らせるため銃を売っている月島たちのところに、建物の住人であるロシア人が帰ってくる。
月島が仲間が迷っているというと、ロシア人は月島と鯉登を、灯台に連れていき、二人に灯台のレンズをそうじさせて明かりをつける。
穴の中で、日露戦争の塹壕を思い出していた杉元は、灯台の明かりに気付く。
第168話 燈台守と老夫婦
杉元たちは明かりを頼りに灯台にたどり着いた。
燈台は日露戦争以降使われていなかったが、燈台守の夫婦が住んでいた。
夫婦は以前、娘と3人で住んでいた。
ある日、ロシア人の脱走兵がやってきて、娘を連れて行ってしまった。
夫婦は娘を探してくれるようロシア政府に頼んだが何もしてくれなかった。
日露戦争で日本軍が樺太に上陸すると、ロシア政府は燈台を破壊するように言われたが、ロシア政府の対応に憤っていた夫婦は日本軍に燈台を明け渡した。
やがて、北方に新しい燈台ができ、この燈台は不要になった。夫婦はこの燈台で娘の帰りを待っていっる
杉元は、娘の写真を借りて、これから行く先々で娘の事を聞く約束をした。
娘の写真が入っていた額に、杉元は自分の写真を入れた。そして、夫婦にアシリパの写真を渡し、もし、アシリパが来たら杉元は無事だと伝えてくれと頼む。
第169話 メコオヤシ
杉元たちは、国境まであと140キロ地点である新問(にいとい)付近にある樺太アイヌの集落に来ている。
杉元はアイヌの子供たちにアシリパの写真、燈台守の夫婦の娘 スヴェトラーナの写真を見せるが知らないという。
エノノカはチカパシに、この村にメコオヤシが出たという話をする。
メコオヤシとは、樺太アイヌの昔話に出てくる猫の化け物。オオヤマネコのようなものらしい。
【アシリパグループ】
一方、アシリパたちは森で雪の上にオオヤマネコの足跡を見つけた。
アシリパは、小さいころ父 ウイルクが話してくれた猫の化け物 メコオヤシとはこれの事だったのかという。
キロランケは、昔ウイルクとオオヤマネコをとったことをアシリパにはなした。そして、昔のウイルクの事をよく知っている人に会いたくないかという。
その人は、樺太の国境から北上した亜港監獄に収監されている。
キロランケたちが実行した皇帝暗殺の首謀者だが、証拠がないので処刑できず、幽閉されている。
帝政ロシア時代に証拠がないから処刑できないってことあったんだ?
名前はソフィア・ゴールデンハント。
アシリパたちは、亜港に向かう。
第170話 亜港監獄の女囚
アシリパたちは、狩猟を生活の中心とするニヴ民族と行動していた。
アシリパたちは、シロイルカをとり、ジャガイモ、ギョウジャジンニク、ニリンソウ、杉元の味噌を入れて鍋を作り食べる。
尾形も「ヒンナ」という。
亜港監獄の男の囚人は、頭髪を正面から半分そられ、建築や炭鉱での苦役を貸される。
女囚はには苦役はなく、ほとんどが島民の召使か、花嫁候補となる。圧倒的に女性不足だったからだ。
ソフィアは若いころは、とても美しく教養があり、キロランケとウイルクはソフィアに惚れた。
亜港監獄には、燈台守の娘 スベトラーナも収監されていた。
キロランケは、監獄の近くの燈台にある爆薬を使って監獄を爆破し、250人の囚人を脱獄させることを計画している。
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