Contents
はじめに
本書で得たひらめきをもとに銀行預金が増えたという熱狂的な反応がありました。そうした体験を読者にもしてもらいたくて本書は書かれました。
プロローグ
バビロンの戦車職人バンシアと友人の楽士コッビはそれぞれの職業においては、有能であったがお金がない。
自由人と称してはいるものの、馬日仕事仕事で奴隷と同じではないかと嘆いている。
そこで、バビロン一の金持ちアルカドに有益な助言をもらいに行くことにする。
第一話 財産を築くには不滅の「原則」があった
バンシアとコッビに尋ねられたアルカドは自分の冒険を話した。
アルカドは若い時、粘土板に文字を刻む書記をしていた。
どうしても成功したいと思っていたので、金貸しのアルガミシュにどうしたら金持ちになれるが尋ねた。
アルガミシュのアドバイスは、収入の10分の一を使わずにとっておくこと、だった。
12か月後、アルガミシュがアルカドにためたお金をどうしているか尋ねると、アルカドは、レンガ造りの友人に預けてあるという。
レンガ造りは、そのお金で宝石を仕入れて、高値で売り設けるつもりだという。
アルガミシュは、あきれた。どうして、レンガ造りが宝石に詳しいと思ったのか、お前蓄えはなくなったと思えという。
アルガミシュのいうとおり、レンガ造りはフェニキア人に騙されお金はなくなった。
失敗に懲りたアルカドは、ためたお金を青銅を買う資金として盾づくりに預け、利息を受け取ることにした。
しかし、その利息を食べ物に使ってしまっていた。アルガミシュは、利息も自分のために働く金の奴隷の大群としなければだめだと助言する。
アルカドはアルガミシュの助言に従い成功する。
第二話 富をもたらす黄金の「七つの知恵」とは
アルカドは、バビロンの王に頼まれて、神殿で富を得るための講義を行う。
第一の知恵 自分の財布を太らせよう。収入の10分の一を自分のために取っておく。
第二の知恵 自分の欲求と必要経費を混同すべからず。気を付けていないと必要経費は収入と同じになってしまう。支出するものは100%支出に見合う価値のあるものでなければならない。予算を決めて、それに従う。
第三の知恵 ためた資金は寝かさず働かせるべし。人間にとっての財産とは、財布の中に入っている現金ではなく、しっかりした定期収入こそが財産である。
第四の知恵 損失という災難から財産を死守すべし。元本が保証されているところ、望むときに回収できるところ、などに投資対象を絞る。
第五の知恵 自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ
第六の知恵 将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取り掛かるべし
第七の知恵 明確な目的に向かって、自分の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし
第三話 「幸運の女神」が微笑む人間とは
アルカドの神殿の講義で、幸運についての議論がなされる。
ある商人は若いころ、土地の開発への投資話を持ち掛けられた。
父親から、必ず投資に参加するように言われていたが、何となく参加しそびれてしまった。
いまではその開発は想像もつかないほどの収益を上げている。
また、別の家畜の仲買人は昔、城壁の外で、夜に、年老いた百姓から900頭の羊を飼うことを持ち掛けられた。
既に夜になっていたので、翌朝、数を確認してから支払いをするといったが、百姓は女房が熱病なのですぐ帰らなければならないので、3分の2を支払ってほしいといった。
その仲買人は取引を断る。
翌朝、城内から仲買人たちが飛び出してきて、3倍の値段で羊を飼った。
当時、バビロンは敵に囲まれていたので、食糧が不足し、高値が付いた。昨晩のうちに羊を買い取っておけば、大儲けができたと仲買人は悔やんだ。
チャンスをつかむためには、不必要にぐずぐずしてはダメだという結論になる。
第四話 金貨の袋か、「知恵の言葉」が刻まれた粘土板か
アルカドは、自分の息子 ノマシアが自分の財産を引き継ぐ資格があるか試した。
アルカドはノマシアに、一袋の金貨と黄金法則が書かれた粘土板を渡し、10年後に自分のところに戻ってきて体験したことを話すように言う。
ノマシアは、まず、隊商で知り合った友人二人の持つ俊足の白馬と、ニネヴェの金持ちが持つ俊足の馬との競争に賭けるという詐欺にあった。
二人とニネヴェの金持ちはグルで、隊商でカモを探して金を巻き上げていた。
ノマシアは、金の大部分を失った。
また、ノマシアは、隊商で知り合ったもう一人の友人と、ある商人の事業を弾きつぐことにしたが、その友人は商売の知識も何もなく、その友人を追い出したが、残ったのは売り物にならない商品だけ。ノマシアは、残ったものをイスラエル人に二束三文で売り払った。
ノマシアは、粘土板に刻まれた五つの法則を注意深く読んだ。
1 将来の資産と家族の財産を築くため、最低でも収入の10分の1を貯めるならば、黄金は自ら進んで、しかもだんだんとその量を増やしながらやってくるだろう。
2 貯まった黄金がさらなる利益を生むような働き口を見つけてやり、家畜の群れのごとく増やせる賢明な主人となるならば、黄金は勤勉に働いてくれるだろう。
3 黄金の扱いにたけた人々の忠告のもとに黄金を投資するような慎重な主人であれば、黄金はその保護のもとから逃げようとはしないだろう。
4 自分のよく知らない商売や目的、あるいは黄金を守ることにたけた日知人が認めないような商売や目的に使われる黄金は、その人間から逃げてゆくことだろう。
5 あり得ないような莫大な利益を生ませようとしたり、詐欺師の魅惑的な誘いに従ったり、あるいは自らの未熟で非現実的な欲望に頼ったりするような人間からは、黄金は逃げてゆくだろう。
ノマシアは、5つの法則を守り、10分の1の金を貯め、それを賢明な投資に使い、黄金3袋を得て、アルカドの元に帰ってきたのだった。
第五話 自ら稼いだ資金の運用は、こうして決める
バビロンのやり職人ロダンは、槍の代金として黄金50枚を王様からもらった。
数日後、ロダンは浮かない顔で、金貸しのメイソンに相談を持ち掛けた。
その相談というのは、ロダンの妹の頼みごとについてだった。
妹は、ロダンに、自分の夫の商売のために黄金を貸してやってくれと頼んだ。今は、商売が成功していないが、黄金を元手に成功できるというのだ。
メイソンは、自分が金を貸したいろんな経験を話す。
そして、ロダンの義理の弟が、商売のしっかりした計画を持ち、返済の当てがあるのなら貸してもよいが、そうでなければ貸さない方がよいと忠告する。
第六話 「強固な城壁」は、人々を恐怖や不安から守ってくれる
老戦士バルザンは、外敵からバビロンの城壁を1月以上にわたり守り抜いた。
バビロンは、この強固な城壁があったため何世紀もの間繁栄をすることができた。
人類の安全を求める欲求は先天的なもので、保険、貯蓄、信頼できる投資など、強固な城壁が必要である。
第七話 奴隷になり下がっても、「人間としての誇り」を忘れなかった
富豪のラクダ商ダバシアは、自分から借金して逃げ回っている若者タルカドに、自分が奴隷のみからどうやって富豪になったか話して聞かせる。
若いころ、ダバシアは信用買いを重ね、不必要なものまで買ってしまい、借金が返せなくなった。
妻は実家に帰ってしまい、ダバシアは隊商に加わり、やがて強盗団に加わった。
2度目の強盗が失敗に終わり、ダマスカスに連れていかれ、シリアの族長に奴隷として売られた。
族長の一人の妻のサイラが駱駝の世話ができる奴隷が必要だったため、駱駝の世話ができるダバシアは幸運にも駱駝の世話係となった。
ダバシアの身の上話を聞いたサイラは、ダバシアに自分が自由人だと思うなら、その誇りと魂を決して忘れてはいけないという。
ある日、サイラはダバシアを連れて実家に帰った。
その時、サイラはダバシアに、「あなたの魂は自由人のものか」とたずねる。
ダバシアが「自由人のものです」と答えるのを聞いて、サイラはダバシアを逃がしてくれる。
ダバシアは砂漠で死にそうになるが、自由人の魂を持っているならどうすべきかと考えたとき、世界の靄が晴れ鮮明に見えた。
ダバシアは立ち上がり、やがて、水のある、草が生え、果実が実る肥沃な土地に出た。
バビロンに帰ってきたダバシアの決意或るところには、道が開けた。
駱駝の知識を生かし、収入を得、少しずつ借金を返し、誇りを取り戻し、自分の魂を見つけた。
第八話 「バビロンの知恵」は現代にも通用するか
イングランドの大学教授 アルフレッド・H・シュールーヴェリィーは、フランクリン・コールドウェル教授に手紙を書いた。
コールドウェル教授がバビロンの遺跡で発掘した5枚の粘土板を、シュールーヴェリー教授が受け取り、翻訳した。
その粘土板には、ダバシアがバビロンに帰ってから、収入の10分の1をため、10分の2を返済に充てたいきさつが書いてあった。
実は、シュールーヴェリー教授も負債を抱えていて、返済に困っていた。
そこで、粘土板に書かれていた方法を実践してみた。
そうしたところ、借金を返済し、10分の1の貯金を投資に回し、満足する結果を得ることができた。
ダバシアの方法は、現代でも通用するということである。
第九話 幸福ーそれは「労働の喜び」を知ること。
バビロン一の大商人シャルゥ・ナダは、自分の恩人アラド・グラの孫、ハダン・グラのことで思い悩んでいた。
今は亡きアラド・グラはダマスカスの大商人であったが、ハダン・グラは、ぜいたくが好きだが、働くことは嫌いな若者だった。
ハダン・グラは父親の放蕩のおかげで遺産を失い、生活がめちゃめちゃになってしまった。
シャルウ・ナダは、ハダン・グラが何とか独り立ちできるよう手助けしようと思っていた。
そこで、シャルウ・ナダは、兄の不始末から奴隷となった自分が、仲間の奴隷メギッドの勤労が最高の友達という言葉に従い懸命に働いたおかげで、アラド・グラと知り合い、奴隷の身分を脱し、大商人になったいきさつを話した。
働くことを嫌った百姓たち、仲間の奴隷はみな、進歩せず同じ手抜き仕事をしたり、殺されたり、ろくなことがなかった。
それをきいた、ハダン・グラは身にまとっていた宝石などを外し、謙虚に生き始めた。
おわりにー富が支えていたバビロンの繁栄
バビロンはユーフラテス川のほとりの平坦で乾燥した土地に存在した。
森も鉱山もなく、建築用の石材もなかった。
交易路からも外れており、作物の収穫には降雨量が少なかった。
すなわち、バビロンは人間が生み出した資源によって支えられていた。
あらゆる手段を使って目標を達成しようとする人間の能力を示した、実例である。
生み出された富は一つ残らず人間が生み出したものだった。
バビロンの全盛期は3000年ごろまでさかのぼり、紀元前540年ごろペルシア帝国により滅ぼされ、以後、バビロンが復興することはなかった。
しかし、その粘土板に刻まれた知恵は、現代にも脈々と生き続けている。
コメントを残す