*オレンジ色の字は感想
Contents
第170話 不動の柱
時透無一郎は、刺さった刀を残った片方の手で引き抜く。
不死川玄弥は、胴体を斬られている。無一郎に、上弦の壱・黒死牟の髪の毛を食わせてくれと頼む。鬼の髪の毛を食えば、体がつながるかもしれない。
黒死牟は、悲鳴嶋行冥に、痣が出現した者は25歳までに死ぬと伝える。そして、行冥は25歳を過ぎているようだから、もうすぐ死ぬが、研鑽した肉体と技が滅びるのは惜しくないかと問う。
鬼になれば肉体と技を保存できるという。言う
行冥は、「命など惜しくはない。人間として死ぬ覚悟がある。」と言い放つ。黒死牟の問いは「自分に対する侮辱だ」と言う。
行冥は、黒死牟が嘘をついているという。それは、痣の者で25歳を過ぎても死ななかった例外がいるということらしい。
行冥の言葉に黒死牟は動揺しているらしいが、絵からはよくわからない。例外とはいったい何者なのかは、謎のまま物語は進む。
第171話 変ずる
黒死牟の髪の毛を食った玄弥の胴がつながった。おまけに、鬼舞辻無惨の声も聞こえるようになる。
黒死牟 対 行冥と不死川実弥の戦い。
黒死牟は、行冥と実弥が柱の中でも実力1,2位であろうと評価する。
行冥と実弥が重傷を負ったにもかかわらず攻撃の速度と精度を上げていることに、黒死牟は驚く。
しかし、黒死牟の攻撃がさらに進化する。
通常では考えられない遠い間合いからの攻撃が、行冥と実弥を襲う。
第172話 弱者の可能性
黒死牟の攻撃で、実弥は右手の人差し指と中指を斬り落とされた。
行冥と実弥は黒死牟の攻撃をかわすことで精いっぱい。
実弥は危ういところを無一郎に助けられた。
玄弥は自分の弱さが悔しい。
玄弥は炭治郎の言葉を思い出す。炭治郎は、「一番弱い者が一番可能性を持っている」と玄弥に語った。
炭治郎は上弦の陸と戦った時に、仲間の中で一番弱かったが、状況を変えられたという。
上弦の陸が弱い炭治郎をノーマークだったから、炭治郎は予想外の動きで状況を変えられた。
その話に発奮した玄弥は、黒死牟の折れた剣を飲み込む。これを食えばもっと回復速度が速まるらしい。
第173話 匪石の心が開く道
行冥は黒死牟の技の速さに不審を抱く。
技を繰り出す前にこちらの動きを読まれている。
行冥は盲目だが、しっかりと刮目した。すると、黒死牟の筋肉の動き、血の巡りが見えるようになった。
筋肉を見て相手の動きを察知するって、超能力だね。
黒死牟の秘密を知った行冥が、自分の血のめぐりを操作し黒死牟をかく乱し、数珠を黒死牟の手に投げつけた。数珠は黒死牟の手にめり込む。
その隙に、無一郎が黒死牟に剣を突き立てた。無一郎も戦闘の中で、黒死牟の筋肉、血の巡りが見えるようになった。
玄弥は、無一郎の言葉を思い出した。それは、無一郎が黒死牟の動きを止めたら、無一郎もろとも黒死牟を拳銃で撃てというものだった。
第174話 赤い月夜に見た悪夢
玄弥が撃った弾丸は、黒死牟に剣ではじかれたが、生き物のように曲がって黒死牟の体にめり込んだ。
その弾丸が黒死牟の体の中で根を張った木となり、黒死牟の動きを止めた。黒死牟の剣と髪の毛を食った玄弥の血鬼術である。
動きを止められた黒死牟は、400年ぶりに焦る。
黒死牟は400年前の戦いを思い出す。
それは、双子の弟 縁壱(よりいち)との戦いだった。その夜の月は赤かった。
そのとき、縁壱は80歳だった。縁壱は痣の者であるにもかかわらず、25歳を過ぎても死ななかった。
縁壱は天才剣士。全盛期の強さは衰えていない。
最初の太刀をかわした黒死牟は次の一撃で倒されると確信していた。激しい焦燥感と敗北感を感じた。
しかし、縁壱は直立したまま寿命が尽きていた。
第175話 後世畏るべし
動きが止まった黒死牟に行冥と実弥が襲い掛かる。
しかし、黒死牟は止まったまま体中から刃を突き出し、攻撃を仕掛ける。
玄弥は頭から真っ二つにされてしまった。
無一郎は何とかしようと刀を強く握った。刃が赤くなり、黒死牟に内臓が焼かれるような激痛を与える。
玄弥も倒れたまま血鬼術を使い、黒死牟の体に入り込んだ弾丸から木をはやした。
黒死牟は技が出せなくなる。
行冥の鉄球と斧、実弥の刀による攻撃で、黒死牟の首が落ちた。
第176話 侍
しかし、黒死牟は首の出血を止めた。
行冥と実弥は攻撃の手を緩めない。
にもかかわらず、黒死牟の新しい首が生えてくる。
それは、醜い首だった。
刀に写った自分の醜い姿に、黒死牟は絶句する。
そして、弟・縁壱の子供のころの言葉を思い出す。
縁壱は、「兄上の夢はこの国で一番強い侍になることか。自分も兄上のようになりたい。自分はこの国で2番目に強い侍になる。」と言った。
黒死牟は、自分の醜い姿に、これが自分の望みだったのか、と絶句する。
黒死牟の体が崩壊し始める。
黒死牟は「縁壱になりたかったのだ」とさとる。
なぜ黒死牟は縁壱になりたかったのか。縁壱とは何者なのか。
第177話 弟
黒死牟と縁壱が生まれたころ、双子は跡目争いの種になるので不吉だといわれていた。
黒死牟らの父は、縁壱には生まれつき不気味な痣があることもあり、縁壱を殺すといった。
それを聞いた母が手を付けられないほど怒り狂ったため、縁壱は殺されず、10歳になったら、寺に行かされることになった。
縁壱は、黒死牟とは大きく差をつけられ、差別されて育った。
縁壱は狭い3畳間を与えらていた。可哀そうに思った黒死牟は縁壱のところに遊びに行ったり、笛を作ってやったりしていた。
母親の姿を見ると、縁壱は、左側にぴったりと寄り添っていた。母離れができていないのだと黒死牟は思っていた。
7つになるまで縁壱は話さなかったので、耳が遠いと思われていた。
違うとわかったのは7歳の時。
黒死牟の剣術の稽古を、縁壱がいつの間にか見に来ていた。
この時初めて縁壱は口をきいて、黒死牟を驚かせた。「兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか」
剣術を教えてほしいという縁壱に、指南者がたわむれに袋竹刀をもたせて、打ち込んでみよといった。
指南者は瞬きする間に縁壱に4発打ち込まれていた。黒死牟は、この指南者から一本も取ったことがなかった。
縁壱は生き物の体が透けて見える。肺の動き、血の流れ、筋肉の収縮、骨の向きを見れば相手の動きがわかる。
そして、縁壱には相手の動きに即応できる並外れた身体能力が備わっていた。
黒死牟は、縁壱が自分よりはるかに優れていること、立場が逆転したことを知った。
そんな時、黒死牟らの母親がなくなる。そして、縁壱は黒死牟がくれた笛を大事に持って、急に寺に旅立った。
黒死牟は、母親の日記から、次のことを知った。
- 縁壱は跡継ぎにされそうなので予定より早く寺に行ったこと
- 母親の体が弱っていたこと、特に左半身が不自由だったこと
- 母親の左半身を支えるために縁壱が母親の左側にいつもいたこと
黒死牟は、天才・縁壱に嫉妬し、憎悪した。
第178話 手を伸ばしても手を伸ばしても
縁壱がいなくなって、黒死牟は、平穏な日々を送っていた。結婚し子供も生まれた。
ある晩、野営している黒死牟たちを鬼が襲った。黒死牟が殺されそうなところを、縁壱が救った。
鬼狩りとなった縁壱は、剣技を極め、非の打ちどころのない人格者となっていた。
黒死牟は縁壱の剣技を自分のものにしたくて、家も妻も子も捨て、鬼狩りとなった。
縁壱は、日の呼吸、剣技を惜しみなく教えるが、誰も習得できない。
黒死牟も日の呼吸の派生・月の呼吸しかできない。
やがて、黒死牟にも縁壱と同じ痣ができる。しかし、痣の者が次々に死に始める。痣の者は強いが、その代わり寿命が短い。
黒死牟は、自分には時間がなく鍛錬を極めることができないと焦っていた。そこに、無惨が現れ、鬼になればよいという。
これで、黒死牟の悩みは解決されるはずだった。
しかし、鬼となった黒死牟の前に縁壱が現れ、痣の者でも死なないという理(ことわり)を超えた存在であることを見せつけ、あと一撃で殺されるところまで黒死牟を追い詰めた。
直立したまま絶命した縁壱を黒死牟は斬った。縁壱の懐には、黒死牟が子供のころ作ってやった笛が大事にしまわれていた。黒死牟は縁壱もろともこの笛も斬ってしまった。
切ないねー。
黒死牟は、妻子を捨て、人間であることを捨てても、縁壱に手が届かなかった無念を思いながら、崩壊していった。
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